留学あきらめな医

英語力ない!コネもない!けど臨床留学した外科医の奮闘記

助手を不安にさせない

この3月に大学院を修了し、臨床に本格的に復帰したわけだけど、全然良いことがない。大学院修了したらいくらでも手術させてあげるぞ!博士取ったら次は臨床どんどんやれるぞ!といった話は、どうやら大学院を勧めるための殺し文句で、まんまと騙されたみたい。とはいっても、博士を取りたかったのは自分自身だし、それは後悔してない。

 

そんな中、先日ありがたいことに執刀の機会を得た。
といっても、開心術ではなく、末梢血管の小さな手術。それでも長らく執刀の機会から離れていたから、非常にありがたかった。

 

大学院前は、後輩を執刀させて自分が指導にまわっていた類の手術なので、こうして、ああして、ここは気を付けて、など言っていた自分が懐かしいし、なんだか複雑な気持ちになった。自分はここからのスタートなのかと。嬉しいやら悲しいやらの執刀だった。

 

今回は、先輩が指導役(助手)にまわっての手術。
今回の手術前に思っていたことは、絶対先輩(助手)を不安にさせない手術をしようということ。この助手を不安にさせないって非常に重要な要素だと思う(これは手術に限らず)。自分が指導役で後輩に執刀させた時に必ず思うのが、わかってやってるのか、わからずやっているのか、があいまいな時は本当に怖いということ。簡単な手術といっても、やはり危険なところはあるし、ピットフォールもある。危険と分かってて進めているのか、危険と知らずに進めているのかは、やっていることは同じでも大いに違いがある。そして、不安に思えば思うほど指導にも力が入り、それが苛立ちに変わり、険悪な雰囲気になり、執刀医は怯え、手が動かくなり、あるいは震えだし、助手はさらに不安になるという、どんどん悪循環にはまる。

 

そんな中で後輩が次は~しますとか、~に気をつけて剥離しますとか言ってくれると、指導者側はすごく安心できる。と自分は思う。執刀医のやりたいこともわかるので、助手も助けやすい。ので、いちいち煩いかもしれないけど、そういうことを報告しながら進めた。本当は、そんなこと言わずにどんどんとマッハでやりたかったけど、今回は安全?を最優先。次のステップにつなげるために。

 

それが功を奏したかどうかはわからないけど、なんの問題もなく終了。自分でも良い手術だったと思う。時間は少しかかってしまったけど。

 

これが次につながるといいな。