留学あきらめな医

英語力ない!コネもない!けど臨床留学した外科医の奮闘記

助手

愚痴。

 

心臓手術は基本複数の外科医で手術を行う。
その時、主に手術を行う人が執刀医、その人の指導や手伝いを行う人が助手と言われ、執刀医の前に立つ。助手が一人の場合もあれば二人の場合もあり、執刀医の前に立つ人を第一助手(あるいは前立ち)、次の助手を第二助手と言ったりする。さらに助手がいる大手術のときは第三助手や第四助手がいるときもある。

 

助手の醍醐味や奥深さは、佐多先生の「大助手論 前編」をぜひ読んでいただきたい。

 

この本にも書かれているが、心臓外科医を目指すもので助手を目指している人はいない。みんな執刀医を目指して日々修練を行っている。執刀できることを夢見て、日々のつらさを耐えている。

 

先日、急性大動脈解離StanfordA型がきた。緊急手術症例だ。
急いで手術の準備を行い、各部署(麻酔科、ME,オペ室、ICUなど)に連絡。
手術室に搬入した。

 

僕は教授が執刀するものだと思った。教授が消毒前にオペ室に来ていたし、この時間帯にいたのが、僕と僕の同級生と、後期研修医の3人だったからだ。

 

しかし、実際執刀したのは僕の同級生だった。前立ちは教授だった。
僕は後期研修医が総大腿動脈を露出する(arterial cannulation)のを前立ちした。
つまり、執刀=同級生、第一助手=教授、第二助手=後輩、第三助手=自分。
同級生が執刀している中、自分は後輩より下の立ち位置で、次に使う器具を用意したり、糸を切ったり、水をかけたり(糸結びのとき必要)していた。

 

もちろん、こんなことはよくある。第二助手の先生の指導のために上の先生が第三助手をすることももちろんあるし、執刀医が一番後輩の場合もある。必ずしも年功序列で立ち位置が決まるわけでもない。

 

ただ、自分は大学院終わってからずっとこのポジションだ。執刀することを夢見て外科医になったのに。大学院頑張ったのに。学位取ったのに。後期研修医と同じことしかしてない。CABGならSVG採取。解離なら鼠経あけるだけ。MICSも鼠経あけるだけ。

同級生はこのポジションではなく、開胸閉胸、カニュレーション、IMA採取、執刀している。

 

大学院でしばらく臨床離れてたから、というなら大学院行く意味ってなんだ?今の医局で大学院いって博士とったのは自分だけだ。論文書いているのも自分だけだ。同級生は論文も書いてないし学位も持ってない。先輩だってそうだ。それで臨床やらせてもらえないならアカデミックなことやる意味ってあるのか?

 

態度が悪い、性格が悪い、上司に気に入られていない、これはあるかもね。
手術が下手。これは自分ではそうは思わないけど分からない。周りに比べて劣っているとは思わないけど、周りの評価は分からない。

知識不足。これもそうは思わない。

術後管理。めちゃめちゃ頑張って患者見てる。他の人よりも状態が良いと絶対の自信がある。ここが適当な外科医を何人も見てきた。けど、ここを頑張ってもチャンスはまわってこないことも多いし、めんどうなことを押し付けられることも多い。

 

たぶんだけど、うちの医局のチャンスは教授や上司に気に入られてるか否かだと思う。論文関係なし、学位関係なし、術後管理関係なし、知識関係なし。
自分はノーチャンスかもな。

愚痴でした。