留学あきらめな医

英語力ない!コネもない!けど臨床留学した外科医の奮闘記

海外病院見学

夏休みを利用して、東南アジアの海外病院へ見学に行ってきた。

ここは以前も日本人フェローの先生がいた病院で、現在も日本人先生がフェローで活躍されている。現在の先生たちも、フェローを終えた先生たちも、この病院での活動や活躍、生活ぶりをいろんなところで発信していたので、自分も行く前に色んな情報を得ることが出来た。それでも異国の地での働き方や、どんな手術をしているのか、どんな生活をしているのかを実際に見てみたいと思い、日本人フェローの先生と部長先生に連絡を取って、今回の見学が実現した。

 

当たり前だけど、日本人先生がいるので連絡も取りやすいし、分からないことは何でも聞けるのでありがたい。海外の病院へ見学に行くのは初めてだったけど、大きな問題もなく?終えることができたのは、間違いなくこの先生方のおかげ。本当にお世話になりました。

 

<1日目>

日本からの直行便で入国して、そのあと国内線に乗り換えて病院近くの空港へ。乗り換えの時間が短く空港内を走ってギリギリでチェックイン。なんとか国内線へ乗り換えできた。国内線は小さいプロペラ機みたいな感じだったけど、全然揺れなくて快適だった。空港からホテル、病院までは近かったけど、日本人先生と部長先生が車で迎えにきてくれた。ホテルにチェックインして、一緒にご飯。communicationは英語がメインで、日本人先生もいたので何とかなった。そのあと、日本人先生の部屋で飲みなおし。色々お話し聞かせてもらえてよかった。

 

<2日目>

祝日だったこともあり、病院内を案内していただいた。また緊急EVARをやっていたのでそれも見学。血管外科の先生(operator)とも会話できて良かった。すごく聞き取りやすい英語だった。午後は現地の観光へ。その後、病院に戻り、練習セットを使わせてもらって人工血管を塗った。誰も見てないのに緊張した。

 

<3日目>

朝からカンファレンスに参加。英語だったけど、声が小さいのか、あまり聞き取れず。特に医療英語だったり、心電図やエコーの説明は英語だと全然分からない。手術の内容も何となくはわかるけど、細かいところは聞き取れなかった。予想はしていたけど、思った以上に大変だった。それから薬の説明会があって、めっちゃ美人の業者さんが説明していた。英語ではなく現地語だったので全く理解できず。ここではまだ業者から医療者?への接待がそこまで厳しくないらしく、美味しいケーキがたくさん配られた。ケーキを食べて手術見学へ。

1症例目:OPCAB-5  部長先生執刀。
スクラブインさせてもらえて、開胸の前立ち。部長先生のIMA採取見学。20分くらいで採ってたけど、今日は時間かかったねって言ってた。助手の先生は、SVG採取していたので、LITA-LAD吻合も前立ちさせてもらった。部長先生の手技は、吻合も含めてとても上手。綺麗。でも速い。無駄がない動き。まさに理想の手術という感じ。うまいわ~と思って見てたら、「静かだけど眠くなった?大丈夫?」と聞かれたので、「手技の上手さに感動してました」と言うと、スクラブナースが「Really???」って言って笑ってた。SVG採取部の縫合させてもらって、止血確認したら部長先生も手術降りたので、閉胸の前立ち。3時間~4時間くらいで終わってた気がする。

昼ご飯。

2症例目:OPCAB-3 (現地フェローPGY 6?7?の執刀)。
ここでは橈骨動脈もよく使うらしく、橈骨動脈採取の前立ち。まだまだ手術はじめたばかり?なのか多少たどたどしいところも。こういった現地フェローの人も増えてきて日本人フェローになかなか症例がまわってこなくなっているらしい、、、。英語もあまり通じず?コミュニケーションが難しかった。

3例目:MID-CAB

見学予定だったけど2例目と重なっていて見学できず。

 

<4日目>

昨日同様カンファに参加。相変わらず分からず。回診も参加したけど、これも現地語だったので全く理解できず。昨日のケーキが余っていたのでそれを朝食に。

1症例目:MICS-CABG-3 部長先生執刀。
この手術自体見るのは初めてだった。昨日とは違って部長先生も少し手こずってる感じはあったけど、それでもやはり上手い。この手術を見るために、現地の他の病院から心臓外科、看護師が見学に来ていた。部長先生は、この手術の第一人者らしい。術後は、その方々も含めてランチへ。帰りの飛行機が一緒っぽかったので、彼らと一緒に帰ることに。ほんとは2例目のMICS-MVP, 3例目のASDも見たかったけど、時間がなく断念。彼らは英語がかなり話せたので良かった。一緒に観光してから空港へ向かった。日本の大御所先生たちのこともご存知だった。いつか見学に行かせてくださいとお願いした。

 

実際現地ではバイパス手術しか見学できず、部長先生以外のスタッフの手術も見学できなかったが、部長先生の手技はほんとに素晴らしかった。この人の手術に、助手でも毎日のように参加できるのは、貴重な経験だと思った。執刀の機会が増えればなお良いのだろうけど。手術以外の仕事は少ないようで、外科医は手術に集中できる環境も良さそうだった。ただ、英語が得意ではない、あるいは全く通じないスタッフもかなりいるのと、患者さんは全く英語が通じないのが大変そうだった。communicationとれないことがここまでストレスになるんだなと初めて分かった。また日本人も全くいない地域なので、日本人と話したり会うことは滅多になく、土日の休みもやることがないと言っていた。日本人先生も、ストレス発散を上手くしないと病みますねと言われていた。アメリカやカナダやオーストラリアはなんだかんだ、日本人コミュニティーがありそうだけど、日本人もいない、英語も通じないは、ほんとうに大変そう。ここで頑張られてるのは本当にすごいと思う。非常に短い期間の見学だったけど、実りのある経験ができた。モチベーションも上がったので、日本で出来ることを頑張りつつ、留学にむけての準備をしていきたい。

自分もつづくぞ。